耐薬品性グレード
ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、難燃性および耐衝撃性など優れた性能を有する樹脂ですが、耐薬品性という観点からは、薬品の種類によっては必ずしも十分ではない場合があります。一方、ポリブチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレートなどのポリエルテル系樹脂は結晶性樹脂で、ポリカーボネート樹脂と比較すると耐薬品性に優れます。しかしながらポリエステル系樹脂単体では、ガラス転移温度が低く、また成形加工後の収縮が発生するため、成形加工が困難です。
ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂をアロイ化することにより、それぞれの樹脂単体では困難であった、耐薬品性および成形性のバランスを取ることができます。住化ポリカーボネートでは、ポリカーボネート樹脂の耐薬品性改良グレードとしてCRシリーズを上市しており、さらに、ガラス強化したグレードも取り揃えております。
耐薬品性グレードの特徴
一般PCとの物性
スクロールできます
特性 | 試験法 | 単位 | 301-22 | CR3440 | CR3241 |
成形収縮率 MD | 自社法 | % | 0.5-0.7 | 0.6-0.8 | 0.6-0.8 |
成形収縮率 TD | 自社法 | % | 0.5-0.7 | 0.6-0.8 | 0.6-0.8 |
降伏応力 | ISO527-2 | MPa | 60 | 60 | 60 |
破壊呼び歪み | ISO527-2 | % | 110 | 100 | 100 |
シャルピー衝撃強さ | ISO179 | kJ/m2 | 60 | 70 | 65 |
荷重撓み温度 | ISO75-2 | ℃ | 126 | 100 | 115 |
各種試薬による耐薬品性
薬品名 | 試験温度 | 301シリーズ | CRシリーズ |
ワックスリムーバー | 23℃ | △ | ○ |
自動車用芳香剤 | 23℃ | × | △ |
ブレーキフルード | 23℃ | × | △ |
ガソリン/軽油 | 23℃ | △ | ○ |
ハンドクリーム | 23℃ | ○ | ○ |
ハンドクリーム | 80℃ | × | △ |
○:使用条件によるがほぼ問題無いレベル
△:使用条件の確認が必要で、場合によっては使用できないことがある
×:使用できない場合が多い